≪陰茎がんの症状と診断≫
陰茎がんとは
陰茎がんは、陰茎に発生するきわめてまれながんで、人口10万人当たりの死亡率は0.1程度です。年齢別にみた罹患率は、60歳から80歳で高く、65歳から70歳にピークがあります。
陰茎ガンは、新生児期に包皮切除を行う習慣のある地域では発生率が低いことから、包茎、亀頭包皮炎、生殖器の不衛生がリスク要因ではないかと考えられています。性感染症や性的パートナーが多いこと、また陰茎がんの男性を夫に持つ女性では子宮頸がんのリスクが高くなることから、ヒトパピローマウイルス感染もリスクの要因として挙げられています。
陰茎がんの症状
陰茎がんは、痛みを伴わないのが普通です。がんはまず陰茎の皮膚から発生しますが、進行すると海綿体や尿道にも浸潤し、排尿が困難になることがあります。がんが大きくなると潰瘍を形成したり、がんが崩れて出血することがあります。また、鼠径部(大腿のつけ根の部分)のリンパ節に転移しやすいので、進行すると鼠径部のリンパ節をかたく触れるようになります。
これがさらに大きくなると、リンパの流れが悪くなって、足のむくみが出現することがあります。
陰茎がんの診断
肉眼的に見て診断がつく場合がほとんどです。しかし、確定診断のためには、局部麻酔をして病変部の一部を切除して顕微鏡で検査する(生検)か、病変部をこすってはがれた細胞を顕微鏡で調べる検査(細胞診)が必要です。陰茎によくみられる他の疾患、特に尖圭(せんけい)コンジローマという病気がありますが、これが大きくなると陰茎がんとの鑑別がやや難しくなるので、これらの検査が必要です。