精巣腫瘍の検査と治療

<精巣腫瘍の検査>

1.触診
最初に触診で陰のう内のしこりについて確認します。

2.腫瘍マーカー
精巣腫瘍の診断では、腫瘍マーカーが重要な役割を果たします。
代表的な精巣腫瘍の腫瘍マーカーには、AFP、hCG及びhCG-β、LDHがあります。ただし、すべての種類の腫瘍が腫瘍マーカーを作り出すわけではなく、ほかの病気によってこれらの腫瘍マーカーの数値が上昇することもあります。

3.画像診断(超音波、CT、MRI検査など)
画像診断は、腫瘍の性状や広がり、転移の有無を調べるために行われます。
超音波検査では、陰のうの表面に超音波を当てて臓器から返ってくる反射の様子を画像にすることで精巣の内部を観察します。
CT検査は、腫瘍の状態や周辺の臓器への広がり、肺やリンパ節などへの転移の有無を調べることができます。精巣腫瘍は早期に転移することが多いため、非常に重要な検査となります。
必要に応じて、MRIや骨への腫瘍の広がりを調べる骨シンチグラフィーなどの検査も行われます。

<精巣腫瘍の治療>

精巣腫瘍は進行が非常に速く、転移しやすいという特徴があります。そのため、精巣腫瘍が強く疑われる場合には、病気のある側の精巣を摘出する手術を行います。

1.手術(外科治療)

  (1)高位精巣摘除術(こういせいそうてきしゅつじゅつ)
精巣腫瘍の場合、基本的に全員に実施される手術です。精巣は血管と精子の通る精管が束になった精索(せいさく)という菅でお腹の中とつながっています。精巣腫瘍は、この精索を通り転移することが多いので、精巣を摘出する際にこの精索の上の方まで取り除きます。
  (2)後腹膜リンパ節郭清術(こうふくまくりんぱせつかくせいじゅつ)
後腹膜リンパ節とは、お腹の大血管周囲にあるリンパ節で、精巣腫瘍は始めにこのリンパ節に転移することが多いため、転移のないⅠ期でも、再発を防ぐ目的でこの部分のリンパ節とその周りの組織を取り去る手術が行われることがあります。
  (3)転移巣切除術
精巣腫瘍は早期に肺や脳、肝臓へ転移することがあります。化学療法でがん細胞を死滅させても、転移巣から再発してくる可能性が高いので、なるべく摘出手術をした方がよいとされています。

2.化学療法(抗がん剤治療)
まだ転移はないものの、再発の可能性が高いⅠ期や、転移のあるⅡ期以上の多くは、化学療法による治療が行われます。
精巣腫瘍は化学療法の効果が非常に高いとされ、転移のある場合でも化学療法を中心とした集学的治療により根治が期待できる悪性腫瘍の1つです。

3.放射線治療
腫瘍に放射線を当てることで腫瘍細胞を傷つけ腫瘍を小さくする治療です。