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細胞を侵し、遺伝にかかわる物質を変化させるウイルス。いくつかのがんはウィルス感染に関係していることが分かっています。今回は、その代表的なものを紹介しましょう。

1.子宮頸がんとひとパピローマウィルス

性交渉をもつことで約80%の女性が感染するのがヒトパピローマウイルスです。しかし、感染しても多くが自然と体外に排出されます。
昨年、ウィルス感染を防ぐワクチンが日本でも承認されました。このワクチンは特に、性交渉を持っていない10代の女性に用いることで大きな効果が期待できます。ワクチン接種は任意で3回の注射で4~6万円かかります。しかし、ワクチンを受けることで7割の女性に効果があるという研究結果も出ています。

2.肝がんと肝炎ウィルス

B型肝炎、C型肝炎ウィルスは世界中で多くの人の死因となっている肝がんの多くに関連しています。肝がんにかかった人の16%がB型肝炎ウィルスに、76%がC型肝炎ウィルスに感染していた(重複もあり)という報告もあります。
これらのウィルスに感染している人は慢性肝炎→肝硬変→肝細胞がんという経過をたどります。
肝炎ウィルスには、ウィルスに感染している人の血液や体液を介して感染します。輸血や注射針の使い回しなどで感染する人もいます。
感染しているかどうかは検査を受ければ分かります。1972年以前に、手術または輸血を受けた人や近親者に肝炎に感染した人がいる場合は検査を受けることを勧めます。

3.白血病とヒトT細胞白血病ウィルス

白血病にはいくつかの種類がありますが、リンパ系の白血病である成人T細胞白血病は、その発症にヒトT細胞白血病ウィルス・タイプⅠが強く関係しているといわれます。
このウィルスの感染力は弱く、感染には輸血による感染、性交渉による感染、母乳による感染の3つの経路しかありません。

4.胃がんとピロリ菌

胃潰瘍にはヘリコバクター・ピロリという細菌が深くかかわっています。近年、この菌が胃がんとも関係しているのではないか、と注目されています。
その関係ははっきりとは分かっていませんが、ピロリ菌感染者に胃がん患者が多く、因果関係について研究が進められています。白血病にはいくつかの種類がありますが、リンパ系の白血病である成人T細胞白血病は、その発症にヒトT細胞白血病ウィルス・タイプⅠが強く関係しているといわれます。
このウィルスの感染力は弱く、感染には輸血による感染、性交渉による感染、母乳による感染の3つの経路しかありません。