肺がんの治療法

肺は体内に酸素を運ぶために大切な臓器です。また、ほかの臓器と違って、体内のすべての血液が通る場所ですから、他のがんが血液に乗って肺に転移することもあります。他の臓器から肺に転移したことで、命を落とすことも少なくありません。
しかし、肺は大きな臓器です。がんがその一部に見つかった場合は、手術で取り去ることで完治することも不可能ではありません。
手術ですべて取り去るためには、肺がんの症状(血痰やしつこい咳など)が出る前に早期発見することが大切です。

肺がんの治療の原則は、小さい場合は手術か放射線、広がっている場合は化学療法です。

肺は右が3つ、左が2つの肺葉に分かれています。手術はがんがある肺葉を取り去り、さらに周囲のがんが転移する可能性のあるリンパ節を切除する方法が標準的なものです。また、ごく小さいがんの場合には、肺葉の一部を取り除きます。肺の機能は残りますし、患者の負担も少なく済みます。
新しい治療法として、胸を開けずに内視鏡で治療する胸腔鏡手術や、気管支からレーザーを照射する内視鏡レーザー治療法などがあります。

放射線治療を行うのは、心臓が弱いなど、手術に耐えられない場合です。
また、小細胞がんと扁平上皮がんは放射線が効きやすいので、放射線治療の対象となっています。

化学療法を行うのは、遠くの臓器に転移があったり、反対側の肺に転移があったり、縦隔の反対側に転移があったりする場合です。こういう状態で手術をすれば、寿命を縮める結果になってしまうので、手術はしないというのが普通の病院です。化学療法などに治療の主体をもっていくことになります。また、転移しやすい小細胞がんは、薬が効くので、普通は手術を行いません。放射線療法を組み合わせることが多いです。化学療法単独よりも、放射線を併用したほうが効果があることが確かめられています。