皮膚がんの種類

1.基底細胞がん

日本人に最も多い皮膚がんで、10万人当たり5人以上が発症します。
表皮の最下層である基底層や毛包などの細胞が悪性化したもので、全体の約80%が頭と顔に発生することから、太陽光線によって引き起こされる可能性が高いと考えられます。発生数は50歳を超えると増え始め、年齢とともに増加し続けます。

2.有棘細胞がん

基底細胞がんよりは少なく、10万人当たり2.5人がかかっているとされています。
このがんの誘因として考えられるのは紫外線の関与で、子供のころからの蓄積の影響でもがんが発生します。

3.悪性黒色腫(メラノーマ)

皮膚の色と関係するメラニン色素を産生する皮膚の細胞(メラノサイト)、あるいは母斑細胞(ほくろの細胞)が悪性化した腫瘍と考えられています。
悪性度が非常に高いがんで、普段気にしていない足の裏に多く発生するので、注意が必要です。

4.皮膚がん前駆症

1 日光角化症(老人性角化症)

●日光のよく当たる部位に、淡い褐色で輪郭のぼやけた円に近い形の皮疹ができます。
●日光角化症を放置しておくと、進行して有棘細胞がんになります。

2 ボーエン病

●胸・腹・背・上腕などの日の当たらない部位に多く発生し、正常皮膚との境界がはっきりしています。
●形はふぞろいの斑状、または軽く盛り上がった皮疹で、淡い紅色から褐色であることが多く表面にはかさぶたがついていたり、一部にびらんがあったりします。
●ボーエン病も、進行すると有棘細胞がんになります。

3 パージェット病
[乳房パージェット病]

●40~60歳代の女性の乳首を中心とした乳房にでき、男性に発生することは極めてまれです。
●通常、乳首の一部の紅斑やびらんとしてはじまり、だんだん周りの乳輪や乳房へと広がっていきます。
●この疾患は、乳がんの特殊な形として分類されています。

[乳房外パージェット病]

●60歳以上の高齢の男性に多く、発生数は女性に比べて2~3倍で、外陰部・肛門の周り・脇の下などにできます。
●じくじくとした紅斑で、ところどころ白く抜けていたり、一部にはびらんがあることも多く、かさぶたのようなものが付着したりし、ほとんどの場合軽いかゆみを伴います。
このため、湿疹やたむしと間違えやすいので注意が必要です。