腎細胞がんの治療
腎細胞がんの治療の主体は外科療法です。手術ができる場合は、腎臓の全部あるいは部分的に摘出することが一般的です。
1.手術(外科療法)
大きな腎細胞がんでは、周囲の臓器(小腸や大腸)を一緒に切除することもあります。
腎静脈・下大静脈まで腫瘍が進展している場合には、下大静脈の切開・切除が必要となります。
小さい腎細胞がん(3~4cm以下)に対しては、腎臓を全部摘出せず、がんと腎臓の一部のみを摘出する手術が行われることもあります。
2.免疫療法
腎細胞がんに有効な抗がん剤治療は今のところなく、免疫療法が比較的有効な治療法として行われています。
自分の身体の免疫力を高めてがんの発育を抑制しようとする治療法です。
3.腎動脈塞栓術
腎動脈を人工的に閉塞させ、がんに血液が流れ込まないようにする治療です。がんに栄養を与えなくして、がんの発育を抑制します。
この方法は、腎摘出が不可能な場合や、大きな腫瘍を摘出する場合に手術に先立ち行います。
4.ラジオ波焼灼(しょうしゃく)術と凍結療法
小さな腎細胞がんに対して、全身状態や合併症のため根治的な治療が困難な場合に行われることがあります。
これらの方法は身体の外から腫瘍に向かって針を刺し、熱もしくは凍結することで腫瘍を死滅させることを目的としています。
5.分子標的治療
近年、腎細胞がんに対して、腫瘍を小さくしたり、生存期間を延長させたりといった、分子標的薬による治療の効果が期待されています。
6.放射線治療
腎細胞がんでは、放射線治療の効果があまりよくないため、腎臓にある腫瘍自体の治療のために放射線照射を行うことはあまりありません。
しかし、骨や脳などに転移したがんの症状を抑えることや治療目的で照射を行う場合があります。
7.ビスホスホネート系薬剤とRANKリガンド阻害薬
骨転移のある場合、これらの薬剤を使用することで、骨転移の進行を抑制したり、症状があらわれるのを抑えたりする効果が期待されています。