胆のう(たんのう)がんの治療
1 手術
(1)胆のう摘出術
胆のうのみを摘出します。がんが疑われるポリープや胆のうの粘膜にとどまっている初期のがんに行われます。
胆のうがんが疑われている場合は、腹腔鏡下手術(おなかに開けた数か所の孔(あな)からカメラや手術操作のできる器具を入れてガスでおなかをふくらませて行う手術。)ではなく、開腹して胆のうを摘出します。
(2)拡大胆のう摘出術
がんの広がりによって、胆のうの周りも一緒に切除します。肝臓への浸潤がある場合は、肝切除および肝外胆管切除を行います。
必要に応じて、膵臓や十二指腸の一部、他の臓器の合併切除術も行います。合併手術によって臓器などが切り離された場合、胆管、膵管や十二指腸を通っていた道をつくるために縫い合わせる再建手術が行われます。
肝臓への浸潤が広い場合や、肝臓に栄養を送る血管への浸潤がある場合には、広範囲に肝臓を切除することもあります。
(3)手術に伴う合併症
胆道や膵臓の手術では、切除した部分から胆汁が漏れて腹膜炎をおこしたり、膵液が漏れておなかの中の出血や感染をおこしやすくなる場合があります。そのため、手術のあとしばらくの間、体内にたまった胆汁や膵液、血液などを体外に出すための管(ドレーン)が数本おなかに留置されます。
胆汁や膵液、食べ物の流れに問題がなければ、管を外して少しずつ食事を再開します。
2 科学療法(抗がん剤治療)
切除ができない胆のうがんの患者さんには化学療法が行われます。週に1回3時間かけて点滴し、2週連続投与したら1週間休むようになります。副作用として、吐き気、倦怠感、食欲不振などがあり、長期間化学療法を続けることによって、腎機能障害、難聴、末梢神経障害(指先のしびれ)などが出てくることがあります。
3 放射線治療
手術が不可能で遠隔転移(がんが最初に発生した場所から、血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器や器官でふえること)のない場合に、がんの進行抑制を目的として放射線治療を行います。