腎盂(じんう)・尿管がんの治療

1.手術

腎盂尿管がんの治療は、手術が中心となり、転移がなければ基本的に手術を行います。
尿路上皮がんは多発・再発するのが特徴なので、がんのある部分のみの切除は一般には行われません。

(1)腎尿管全摘除術と膀胱部分切除術
がんのある片側の腎臓、尿管、膀胱壁の一部を含めたすべての上部尿路の摘出および膀胱部分切除を行うのが一般的です。
腎臓は左右に1つずつあり、片方の腎臓を摘出してももう一方の腎臓が正常に機能すれば生活上の制限はあまりなく、人工透析が必要になることはまれです。

(2)尿管部分切除
がんが尿管のみにある場合、または1つしかない腎臓の腎盂や尿管にがんが発生した場合などは、腎臓を摘出せず、尿管の部分切除が行われることもあります。

(3)内視鏡的レーザー切除術
各種画像検査や尿管鏡検査で尿管がんと診断された場合、悪性度の診断と治療をかねて内視鏡的レーザー切除術を行うことがあります。内視鏡の先端からレーザー光線が照射され、がんを切除します。単発で悪性度の低い小さながんに限られています。

2.抗がん剤治療(化学療法)part84_01.jpg

浸潤性の尿管がんは外側に広がりやすく、浸潤性の腎盂がんは腎臓の中に広がったり転移したりすることがあります。そのため、がんの浸潤が認められた場合や手術後の組織検査の結果によっては、手術前後に抗がん剤治療を行うことがあります。
すでにリンパ節や別の臓器に転移している場合は、数種類の抗がん剤を組み合わせて使う多剤併用化学療法が試みられます。

3.放射線治療

放射線治療は、高エネルギーのX線でがんの細胞を壊し、がんを小さくする効果があります。転移があって根治が望めない場合や年齢、合併症などにより手術が難しい場合、痛みなどの不快な症状を緩和するために放射線治療が選択されることもあります。

4.BCG(ウジ型弱毒結核菌)注入療法

腎盂尿管の上皮内がんの場合には、腎臓を温存するために、結核の薬として使われるBCGをカテーテルで腎盂尿管に注入する方法が選択されることがあります。