膣(ちつ)とは

膣は、子宮頚部と外陰をつなぐ長さ6~8cmの筒状の組織で、膀胱と尿道の後ろ、直腸の前にあります。出産時には、この膣を通って新生児が体外に出てきます。
膣は、2種類の筋肉層でできていて、その表面は粘膜でおおわれています。この粘膜からがんが発生し、進行すると粘膜表面に広がったり、粘膜の下の筋肉、さらには周囲の臓器にまで広がったりすることがあります。

膣がんとは

膣がんは、女性のがんのうちでも大変まれな疾患で、女性生殖器がんの約1%にすぎません。
膣がんの種類は、扁平(へんぺい)上皮がんと腺がんです。この他には、悪性黒色腫、肉腫、小細胞がんもあります。

<扁平上皮がん>
・全体の80~90%を占め、一般に60歳以上の女性にみられます。
・進行すると膣の粘膜表面に広がったり、粘膜の下の筋肉層や膣の周辺組織や子宮まで浸潤したりすることがあります。通常広がるのが遅く、膣近辺にとどまっていますが、肺や肝臓、骨に転移することもあります。
・主な危険因子は、60歳以上であること、ヒトパピローマウイルスへの感染が知られています。

<腺がん>
・全体の5~10%程度で、膣の表面にある線細胞から発生します。
・扁平上皮がんと比べて、肺やリンパ節への転移の可能性が高くなります。